コーヒーというのは、同じ豆でも淹れ方ひとつで味が変わります。
そんな味の変化を楽しむことも、コーヒーの醍醐味といえるでしょう。
ですが、同じ豆でもなぜか美味しく感じないという経験をされたことはないでしょうか?
実はその原因のほとんどが「雑味」によるものなのです。
そこで今回は、コーヒーの雑味とはどんな味なのかについてや、雑味の原因と美味しい淹れ方についてお伝えしていきます。ぜひ参考にしていただき、雑味のない美味しいコーヒーを楽しんでいただければと思います。
そもそもコーヒーの雑味って何?
「雑味」という言葉はよく耳にするかと思いますが、どんな味かハッキリとわかりますか?
美味しく感じない「マズい味」というイメージはあれども、少しわかりにくいですよね。
まずは雑味とは、いったいどういう味なのかを具体的に見ていきましょう。
雑味ってどんな味?
雑味という味の表現は、コーヒーに限ったものではありませんよね。例えばビールなどにもよく使われているかと思います。
辞書を引いてみると、「飲食物の中に入り混じって、本来の味を損なう味。不純物の味。」となっています。特に日本酒の味に対してよく使う表現だそうです。
つまり雑味とは、「本来の味とは違う、美味しさの邪魔をしている味」という風にとらえることができます。
コーヒーの雑味とは?
ではコーヒーの「雑味」とは、具体的にどんな味なのでしょうか?
まずコーヒーを表現する味としては、「甘味・旨味・酸味・苦味・渋味・えぐみ」が挙げられます。
そしてこれらの味が過度に出てしまい、本来の美味しさの邪魔をしている場合は雑味ということになります。コーヒー豆が本来持っている味とは違う味が混じっている状態ですね。
ですが、甘みと旨みは美味しさとしてとらえられます。
ですので、「酸味・苦み・渋み・えぐみ」が本来よりも強い場合、「雑味」のある美味しくないコーヒーということになります。
つまり味のバランスを保ち、豆本来の味を損なわずに淹れることができれば、これらの味を雑味と感じることはありません。
人それぞれの味覚による違い
誰にとっても明らかに「雑味」と感じる場合もありますが、人それぞれの味覚による違いで感じ方が変わる場合もあります。
例えば苦みの強いコーヒーが好きな人もいれば、嫌いな人もいますよね。また酸味の強いコーヒーも好き嫌いが分かれます。
このようなコーヒーの好みによっても、雑味ととらえるか、味の個性ととらえるかに違いが生まれます。つまり、個人の味覚の違いによっても、雑味の認識が変わる場合があるということです。
雑味と思っていた味が、本当は豆本来の味だったというケースも多々あります。ですので、その味が本当に雑味なのかどうなのか、じっくりと味わってみるのも面白いかと思いますよ。
コーヒーの雑味が出る原因
人によって雑味のとらえ方に違いはあれど、やはり余分な苦みや渋み、えぐみといった雑味は出さずに淹れたいものです。
そのために、まずはコーヒーの雑味が出る原因を見ていきましょう。
コーヒー豆の鮮度と焙煎具合
まず一番大切なのは、新鮮なコーヒー豆を選ぶことです。古い豆だとだんだん味が落ちて、雑味につながります。
また、焙煎の具合によっても、豆の味が変わるということは意識しておくと良いでしょう。
浅煎りの場合、酸味を感じるものが多く、クリアで切れのある味わいになります。
一方、深煎りだと苦みや渋みを感じるものが多く、コクが出ます。豆の味が舌にいつまでも残り、後引く旨みを感じることができます。
このように焙煎具合でも味が変わるわけですが、一流の焙煎仕にもなると、焙煎の段階で雑味を調整することができるのです。
ですので、コーヒー豆の鮮度はもちろん、焙煎の具合も雑味に影響を与えます。
豆自体の雑味が気になる場合、まずはお店選びと豆選びにこだわると、雑味の少ないコーヒー豆を見つけることができるはずです。
豆を挽いたときに残る「シルバースキン」
豆を挽いたときに出る薄皮のようなものを「シルバースキン」と呼びます。
これはいわゆる渋皮で、実はこれも雑味の原因である渋味につながります。
挽いた豆の中に、豆より少し薄い色でヒラヒラと入っている皮が見えたら、それがシルバースキンです。軽く「ふぅーっ」と息を吹きかけることで飛ばすことができます。
ただ、渋みというのもコーヒーの個性を引き立たせせる味の一つです。ですので、取り除き過ぎるのも考えものでしょう。
もちろん好みもありますが、取り除き過ぎない程度に軽く吹き飛ばすのがオススメです。
抽出方法
コーヒーを入れる時のお湯の温度、そして抽出にかける時間などによっても、雑味の度合いは変わってきます。
どんなに良い豆であっても、間違った入れ方をすれば雑味たっぷりのコーヒーが出来上がります。特に、苦み・渋み・えぐみが出ると味に大きく影響を及ぼしますので、入れ方には特に注意が必要です。
なお、雑味の出ない抽出方法については、この後詳しくお伝えしていきます。
雑味のないコーヒーの淹れ方!3つのポイント
それでは、雑味のない美味しいコーヒーを淹れるための重要なポイントを3つ紹介します!
- 抽出温度に注意
- 抽出時間は適切に
- 最後まで抽出しきらない
抽出温度(お湯の温度)に注意!
ドリップの際、沸騰したてのお湯を注ぐと、確実に「苦み・渋味・えぐみ」が増えてしまいます。まさに雑味のある美味しくないコーヒーの出来上がりです(汗)
適切なお湯の温度は80℃~85℃くらい。優しく注いでいきましょう。
雑味が出ないだけでなく、飲む温度としてもちょうど良い口当たりとなります。
抽出にかける時間は適切に!
お湯を少しずつジワジワと注いで淹れるのか、ササっと注いで淹れるのか、この時間のかけ方でも雑味の有無に影響を与えます。
また、お湯を注ぐ際は初めに蒸らしの時間を置きますが、この時間が長すぎても苦味や渋味、えぐみが強くなってしまいます。
まず蒸らす方法としては、お湯をわずかに注ぎ、フィルターからポタポタとお湯が落ちる程度に湿らせます。そして、ポコッポコッとガスが抜けるのを待ちます。
蒸らし時間はおおよそ20秒くらいがベストです。
蒸らしが終わったら、再びお湯を注いで抽出していきます。
コーヒー豆の粉がお湯の中で泳がないくらいの速度で注いでいきます。ただし、それと同時に粉はいつもお湯に浸っている状態を保つようにしてください。
粉が泳ぐほどお湯を注ぎ、ササッと淹れようとすると、酸味のキツい味に仕上がります。
逆に、お湯を注ぐ時間を必要以上にかけ過ぎて、粉がお湯に浸っている時間が長くなると、苦みや渋味、えぐみが強く出てしまいます。これは蒸らしも同様ですね。
どちらも本来の味とは違う「雑味」が強くなってしまいますので気を付けましょう。
最後まで抽出しきらない!
フィルターを通してドリップしている時、注いだお湯が全部落ちるまで待つのはNGです。
お湯を注いだ時、始めに細かい泡が出ますが、これはいわゆるコーヒーの灰汁(アク)です。
お湯を注ぎきって、すべてのお湯が落ちるまで待つと、この灰汁(アク)や、その他の雑味の成分まで全て落としきってしまうことになります。
そうすると当然ですが、雑味のあるコーヒーになってしまいます。余分な雑味を出さないためにも、お湯がまだ残っている状態でドリップは終了しましょう。
まとめ
今回は雑味に注目して見ていきましたが、コーヒーはやはり奥が深いですね。
味の複雑さ、それぞれの感じ方、もちろん淹れ方においてもこだわりどころが満載でした。
せっかくコーヒーを飲むなら、雑味を減らして本来の味を楽しみたいものです。こうしたこだわりを持つことで、また新たなコーヒーの奥深さを感じることができ、よりコーヒーの世界を楽しむことができるでしょう。