コーヒーの知識

【コーヒーの起源】発祥地はどこ?本場は?歴史と統計から読み解く!

歴史のあるコーヒー

美味しいコーヒーを味わうと、そのルーツや原産地に興味がわいてきませんか?

コーヒーの発祥についてはさまざまな説がありますが、現代に伝わる話の数々は、歴史の奥深さが感じられるとても興味深いものばかりです。

そこでこの記事では、コーヒーの起源と発祥地についてや、コーヒーの本場についてまとめています。また、コーヒーが世界に広まった経緯も歴史的観点から詳しく解説していきます。

コーヒーの起源!発祥地はどこ?

歴史の本

コーヒーの起源については諸説あり、どれが真実かは定かでありません。

ですが現在、最も有力視されているのは、エチオピア発祥という説です。

それでは、有力な説から見ていきましょう。

エチオピアのヤギ飼いが発見した説

「コーヒー発祥の地はエチオピア」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

コーヒーを発見したとされるのはヤギ飼いの少年カルディ

時は6世紀、少年カルディはいつものようにをヤギを連れ、山へ入ります。

するとヤギたちは、なぜか茂みの中に実っていた赤い実を好んで食べていました。そして赤い実を食べたあと、ヤギたちはいつもと違って跳んだり跳ねたりしていることに気が付きます。

不思議に思ったカルディは、自分でもその赤い実を食べてみました。すると、体が軽くなり気分も爽快。精気がみなぎってくるのを感じました。

そのころの修道院では、夜通し眠らずに瞑想や祈りを捧げていましたが、睡魔に悩まされ困っていました。そこでカルディは知り合いの修道士に赤い実のことを話します。

その話を聞いた修道士たちは、さっそく赤い実を食べて儀式に入ります。すると、夜通しの儀式でも睡魔に悩まされることはなくなりました。こうして宗教儀式の必需品として、コーヒーの実(赤い実)が重宝されることになったのです。

このエピソードは、「眠りを知らない修道院」として今に伝えられています。

イエメンの修道士が発見した説

エチオピアの説に次いで有名なのが、イエメン(モカ)で発見されたという説です。

時は13世紀、イスラムの神秘主義修道士(スーフィー)であるシェーク・オマールは、王女に恋心を持ってしまい、怒った王によって町から追放されます。

山の中で一人空腹に耐えられなくなったオマールは、小鳥がついばんでいた赤い実を食べてみました。すると、なぜだか力がみなぎり、元気が出たことを実感します。そこでオマールは、「この赤い実は病人に使えるのではないか」と考えます。

その後、オマールはこの赤い実を持ち帰り、たくさんの病人を救ったのです。こうして病人を救ったことで、王に許され、追放は解かれました。

この赤い実こそ、コーヒーの実だったというわけですね。

その他:イエメンの律法学者が広めた説

発祥の説ではありませんが、イエメン(アデン)の律法学者がコーヒーを嗜好品として広めたといわれています。

時は15世紀、イスラム律法学者のシーク・ゲマレディンは、以前エチオピアの旅で飲んだコーヒーの効能を、体調を崩した際に自分の体で確かめました。

その後、この効能を夜通し祈りを捧げる修道士たちに伝えます。また、学者仲間や職人たち、そして旅商人にもコーヒーを勧め、それが次第に広まっていったとされています。

実はゲマレディンは、薬としてではなく、嗜好品としてコーヒーを広めたのです。薬として扱われていたコーヒーを、一般的な飲み物にした功労者ともいうべき人物でしょう。

コーヒーの歴史!世界各地に広まった経緯

コーヒーと本

コーヒーの起源に関してはさまざまな伝説が残っていますが、実際にどのような経緯で世界中にコーヒーが広まっていったのでしょうか?

歴史を紐解き、コーヒーが世界中で飲まれるようになった経緯を見ていきましょう。

原産地エチオピアからアラビア半島へ

もともとエチオピアの人々は、コーヒー豆を食用として利用していました。煮て食べるのが一般的だったようです。葉を乾燥させたり、煎ったりしてお茶として飲んだりもしていました。

その後、アラビア半島へコーヒー豆が渡り、9世紀ごろにイランの哲学者アル・ラーズィによってコーヒー豆を使った飲み方が、自著にて紹介されています。その方法とは、乾燥させたコーヒー豆を臼ですりつぶし、それを熱湯で煮出して飲む方法。

このころはまだ、焙煎してから飲む方法にはたどり着いていなかったのです。

持ち出し禁止のイスラムからインドへ

エチオピアからアラビア半島、イエメンなどあちこちへ広がりをみせるコーヒーは、いよいよインドへ渡ります。

インドへコーヒー豆が渡ったのは17世紀。

当時、イエメンからのコーヒー豆の持ち出しは厳重に監視され、一切禁止されていました。ですが、イスラム教の聖者ババ・ブーダンはイエメンでの巡礼を終えたあと、帰国時にこっそりと7粒のコーヒー豆を持ち出したのです。そしてその中の一粒が成長し、実をつけました。

その一粒のコーヒー豆のおかげで、そこからインドネシアやオランダを経由し、世界中に広まったという説が伝えられています。

悪魔の飲み物と呼ばれヨーロッパへ

ローマではコーヒーを「悪魔の飲み物」と呼び、キリスト教徒の間では物議を醸した経緯があります。

1652年のイギリスでは、ロンドンに初めてコーヒーハウスが開業しました。しかし、この黒くて苦い飲みものに馴染みのない住民たちからは、「悪魔のにおいがする」といわれ、歓迎されていなかったようです。

また、フランスではコーヒーが心身ともに悪い影響を与えるとされ、政治家までもが議論を交わすほどの騒動となりました。

現代のように、コーヒーがくつろぎや癒やしの飲みものと認められるまでには、長い道のりがあったのです。

アメリカへ渡るとコーヒーハウスが続々と開店

1670年代に入り、ようやくイギリスからアメリカにコーヒーが渡っていきます。また一説には、1640年代頃にオランダによって北アメリカに入ってきたという説もあります。

アメリカに渡った当初、コーヒーは贅沢品として扱われていました。その後、ニューヨークやボストンでも、イギリス同様のコーヒーハウスがオープンしだし、一般の人々にも広まっていきました。

コーヒー豆がついに日本の長崎へ

1700年代に入り、ついに日本(長崎)にコーヒー豆がやってきました。世界から見ると、コーヒー文化の始まりはとても遅かったことがよくわかります。

1834年には横浜にコーヒーハウスがオープンします。ですがこれは外国人居留地の西洋人に向けたお店でした。そして明治に入り、コーヒー豆の輸入が正式に始まり、日本にも少しずつコーヒーは浸透していったのでした。

アジア各国でも広まるコーヒー文化

その後、コーヒーはアジアのあちこちへ広がりを見せます。

第二次世界大戦のあと、アメリカの影響で韓国にもコーヒーが普及します。

ベトナムやラオスは、フランス領だった時代にコーヒーの栽培が始まり、独立後もコーヒーを飲む習慣が残りました。また、植民地にならなかったタイでは、コーヒーの栽培は行われてきませんでしたが、20世紀末からコーヒーの飲用が定着しました。

アジアに限らず世界各地に広まったコーヒーは、長い年月をかけて、その土地の人々のいろいろな工夫とともに発展しました。独自の淹れ方や飲み方が、その国のコーヒー文化となっているのです。

コーヒーの本場ってどこなの?

コーヒーの本場

コーヒーの本場はどこか、具体的に答えられる人というのはまずいません。

なぜなら、何をもって「本場」とするかで答えが変わってくるからです。

例えば発祥地を本場とするなら、エチオピアということになります。ですがエチオピアは、コーヒー豆の生産量も品質も世界のトップではありません。

ですので実際のところ、コーヒーの本場というのはハッキリしないのです。

とはいえ、生産量や品質などあらゆる面を見て参考にすることはできます。それぞれ世界のトップはどの国なのかを見てみましょう。

生産量1位はブラジル

コーヒー豆の生産量第1位はやはりブラジル。

生産量が多いだけあり、輸出量も世界でダントツ1位となります。エチオピアからコーヒー豆が渡ってから、100年足らずで世界のトップに躍り出ました。

また、コーヒー豆の品質も高いので、ブラジルをコーヒーの本場といっても間違いではないでしょう。厳密には、コーヒーの本場のひとつというイメージになるかと思います。

ちなみに生産量2位以下の国は以下の通りです。(2017年調べ)

  •  2位 ベトナム
  •  3位 コロンビア
  •  4位 インドネシア
  •  5位 ホンジュラス
  •  6位 エチオピア
  •  7位 ペルー
  •  8位 インド
  •  9位 グアテマラ
  • 10位 ウガンダ

消費量1位はルクセンブルグ

統計上、コーヒー豆を最も多く消費している国はルクセンブルグです。(国民1人当たり)

統計によると、1人当たり1日約8杯のコーヒーを飲んでいる計算になるのです。ですが、そこには意外な理由が隠れています。

というのも、ルクセンブルグは隣国よりも税率が低いため、隣国の人もコーヒーを買いに来るのです。ルクセンブルグは、ドイツ、フランス、ベルギーに面しているので、これらの国民の消費量も統計に入っているというわけです。

とはいえ、やはりルクセンブルグの人たちが、コーヒー好きであることは間違いないのです。隣国の人々も含め、コーヒーをよく飲み、愛しているということがいえるでしょう。

ちなみに生産量の多いブラジルやコロンビアなどは、自国での消費量はあまり多くはありません。なぜかというと、生産量が多い国々は輸出中心の国なのです。コーヒー豆はその国の嗜好品ではなく、国を支える重要な産業の一つという位置づけになっています。

世界最高品質のコーヒー豆生産国は?

生産量や消費量などは数値化できるので世界一を決めることができますが、品質面での世界一を決めるのは簡単なことではありません。

コーヒー豆の品質面については、コーヒー好きの間でも意見が分かれます。

ですが、誰に聞いてもトップクラスと認められる国は、やはりコロンビアでしょう。

また、ケニアのコーヒー豆もトップクラスであることは間違いありません。

コロンビア

南米に位置するコロンビアは、世界最高品質のコーヒー豆を生産している国です。

1927年に「コロンビア国立コーヒー生産者連合会」を設立してから、一気にコーヒー豆の品質が上がりました。国民の27%がコーヒーの栽培に関わるなど、国全体がコーヒーに力を入れていることも理由のひとつです。

また、農業アドバイザーを各農家に派遣し、品質にはかなりのこだわりを持っています。こういった努力があるからこそ、世界に認められる最高峰のコーヒー豆を輸出できているのでしょう。

コロンビアは品質が高いだけでなく、生産量も世界第3位となっています。ですのでコロンビアもまた、コーヒーの本場といって間違いはないでしょう。

ケニア

コーヒー豆の発祥地「エチオピア」の隣に位置するケニアも、最高品質のコーヒー豆を生産しています。

特にヨーロッパでは一級品として重宝され、高値で取り引きをされています。ケニアにも品種研究を重ね、品質を管理するシステムが整っているので、味にその努力が表れています。

まとめ

コーヒーは味や淹れ方だけでも奥深さを感じますが、こうして歴史や背景を知ることで、ますます深く味わうことができますよね。

たった一粒のコーヒー豆にも、なんだか大きな歴史を感じてしまいます。

また、コーヒーの本場はどこなのか?という答えのない問題を、自分なりに解いてみるのも面白いでしょう。

あなたもコーヒーの奥深い背景を思いながら、今日の一杯を楽しんでみませんか?

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