一度は誰しも飲んだことがある、最もポピュラーなコーヒー。
それがインスタントコーヒーですよね。
とても身近な存在のインスタントコーヒーですが、「まずい」という声が多いのも事実。
特にコーヒー好きの間で、美味しいと言っている人はまず見かけません。
そこでこの記事では、まずいインスタントコーヒーを少しでも美味しく飲む方法や飲む以外の使い道、それでもまずい場合の対処法などをご紹介します。インスタントコーヒーがまずいと言われる原因についてもまとめていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
インスタントコーヒーはやっぱりまずい!
インスタントコーヒーを美味しいと感じる人もいるとは思います。いるとは思いますが、豆から挽いてドリップしたものに比べれば、当然、味や香りは落ちると言わざるをえません。
また、メーカーや商品によって違いはあれども、ドリップコーヒーとの間に越えられない壁が存在するのは間違いないでしょう。
一番の原因は香り
まずいと感じる一番の原因は、やはり香りでしょう。
コーヒーというのは、「挽きたての豆で淹れたての状態」が一番美味しいわけです。
インスタントコーヒーの場合、コーヒー豆から抽出後、その抽出液を加工して粉にしています。この過程で香りはどんどん失われていきます。そして、私たちがお湯を注いで飲むころには、ほとんど香りがしないコーヒーの出来上がりです。
手軽さを取るか、味を取るか
店頭にはたくさんの種類のインスタントコーヒーがずらりと並んでいます。実際に売れていますし、飲んでいる人たちがたくさんいるのも事実です。
インスタントコーヒーのメリットといえば、もちろん手軽で簡単だということ。
味は落ちるにしても、簡単に入れることができるという点は素晴らしいですよね。道具もカップとスプーンだけあればいいので、洗い物も少なくてすみます。
味には特にこだわらず、コーヒーが飲めればいいという人にとっては、この手軽さは美味しさよりも大事なのでしょう。
一方で、美味しさを求めるのであれば、この手軽さは捨てなければなりませんが、どちらを取るかはその人次第です。
インスタントコーヒーがまずい場合の対処法
インスタントコーヒーがいくらまずいとはいえ、さすがに捨ててしまうのはもったいないですよね。また、まずいと分かっているものを人にあげるのも気が引けます。
では、我慢して最後まで飲み切るしかないのでしょうか?
そんな時の対処法をいくつかまとめてみました。
少しでも美味しく飲む方法
まずはじめにお伝えしておきますが、これから紹介する方法を試しても、劇的に味が変わるわけではありません。あくまで、「少しでも」美味しく飲む方法ですので。
決してドリップコーヒーに近づくわけではありませんのでご注意ください(汗)
それではハードルを下げたところで、ひとつずつ紹介していきましょう!
はじめに少量の水で粉を溶かす
お湯を注ぐ前に、ちょっとだけ水を入れて、丁寧に粉を溶かしましょう。溶かすというより、練るイメージに近いです。こうすることで、お湯を注いだときに粉が溶けやすくなります。
熱湯を注がない
これは豆から入れるときも同じですが、80℃~85℃ぐらいのお湯を入れましょう。
ですが、いちいち温度計などで測るのは面倒ですよね。そこでオススメの方法としては、沸騰したお湯をまずは空いているコップなどの容器に入れてください。そして少し待ち、コップのお湯を粉の入ったコップに移し替えましょう。そうすれば90℃以下にはなるはずです。
粉とお湯の分量は正確に
これは説明不要ですよね。コクがないとからといって、粉の量を増やしても苦みが増すばかりです。逆に苦いからといってお湯を足すと、それこそまずくなりますよ。
粉をから煎りする
フライパンなどを使い、弱火でゆっくり粉を煎る方法です。香ばしさが追加されるので、風味としてはそのまま入れるよりいいですが、手間がかかります。ここまでするのであれば、ドリップコーヒーを入れたほうが良いのではという気もします。
牛乳をたっぷり入れる
これは味をごまかして飲む方法となります。牛乳をたっぷり入れて、カフェオレとして飲みましょう。甘いのが苦手でなければ、砂糖をたっぷり入れるのも効果ありですよ!
紹介した対処法の中では、一番オススメの方法です。そもそも、まずいと感じるレベルのインスタントコーヒーは、少し工夫したくらいではまずいままです。ですので、味をごまかし、我慢することなく飲み切ってしまいましょう。
その他の利用法
インスタントコーヒーは煮込み料理のコク付けや、お菓子作りにはとても向いています。粉ですので溶けやすく、使いやすさも抜群です。
飲む以外にも上手に利用することで、いつもの料理が一味違って美味しくなりますよ。
- コーヒーゼリーやティラミスなどのお菓子作りに
- カレーの隠し味に(オススメ)
- 肉に適量を振りかけて焼く(香ばしさが増し、焼き色もきれいに)
- しゃぶしゃぶのだし汁に(豚肉の臭みを取ってくれる)
それでもまずい場合は?
「それでもインスタントコーヒーはまずい!料理もしないから使わない!」
というのであれば、いっそのことインスタントコーヒーを飲むのはやめにしませんか?
(今手元にある分は、お伝えした対処法で使い切るとして)
いくら手軽であっても、せっかくのコーヒータイムを「まずい」と思いながら飲むのはどうかと思いますよ。それではコーヒーを飲むメリットがありません。
これを機に、ご自身で豆を選び、ドリップする道を選ぶのも良いのではないでしょうか?
好みの豆を自分で選ぶ
近所にコーヒー豆の専門店はありませんか?
近頃は焙煎するお店が増えていますので、案外近くにあるかもしれません。
お店の方に相談しながら豆を選べば、好みの豆が自ずとわかってきます。また、コーヒーミルがない場合はお店で豆を挽いてもらうこともできるので、頼めば大丈夫です。
とにかく一度、お店に足を運んでみましょう。一歩お店に入った瞬間、豆の香りに包まれ、幸せを感じることができますよ。この瞬間から、コーヒーを飲む楽しみは始まっているのです。
手間暇を幸せに変える
道具が必要ではありますが、初めはカップの上に乗せるドリッパーとぺーパーフィルターさえあれば充分です。あとはお気に入りのカップだけ。
こだわりたい方はいくらでも道具にこだわることができますが、まずはこの3つからスタートしましょう。
そして、コーヒーミルが手に入ったら、ご自身で挽いてみることをオススメします。手間がかかる作業ではありますが、これこそがコーヒーを淹れる醍醐味ともいえますので。
この手間を面倒ととることもできますが、もしコーヒーを愛しているのであれば、その工程すらも楽しんでしまいましょう。一つ一つの工程を楽しみながらコーヒーを淹れると、淹れているすべての瞬間が幸せな時間であることに気づくはずです。
インスタントコーヒーの歴史
ここまでは、「インスタントコーヒーはまずい」ということばかりに目を向けてきました。ですが、やはり手軽にコーヒーを飲めるというメリットは認めざるをえません。
そして、この手軽なコーヒーが飲めるようになるまで、実は非常に長い歴史があったのです。
インスタントコーヒーの発祥
インスタントコーヒーの始まりは、なんと1771年。当時のイギリスでは、水に溶かすコーヒーが既に発明されていました。しかし、これは貯蔵可能な期間が短かったため、それ以上発展することはありませんでした。
その後、1853年にアメリカでも研究されましたが、やはり保存の方法が見つかりません。
そして1889年、ニュージーランドで「ソリュブル・コーヒー・パウダー」(可溶性コーヒー粉末)が開発され、特許を取得します。これが記録上確認できる、最初のインスタントコーヒーとなります。
こんなに昔から、水で溶いて飲もうとする人たちがいたとは、本当に驚きです。
日本にコーヒー豆が入ってきたのは18世紀。(1701年~)
当時は日本人の口に合わず、すぐには広まりませんでした。ですがその後、1856年の幕末期には輸入が始まり、広まっていったとされています。まだまだこのころの日本は、インスタントコーヒーの開発には遠く及ばない時代でした。
日本人科学者も貢献
インスタントコーヒー初の特許取得から10年後、1899年にアメリカ在住の日本人科学者「加藤サトリ」が、コーヒーを真空乾燥する技術を発明し特許を取得。
残念ながら商品化には至らなかったものの、これは今のインスタントコーヒーにかなり近い製法といえます。
昔の人たちも、私たちと同じようにコーヒーが好きで、少しでも手軽に飲むために、こうやって開発を続けたのでしょうね。
「ネスレ」が商品化に成功
1920年、ブラジルではコーヒー豆の大豊作により、豆の価格が大暴落し、その影響で農民たちは困窮してしまいました。その状況を見兼ねたブラジル政府は、窮地を脱するため打開策を「ネスレ」に提案します。余ったコーヒー豆を使い、商品を開発させたのです。
そしてこの時、今と同様のインスタントコーヒーが開発されました。その商品こそがインスタントコーヒーの代名詞となる「ネスカフェ」となります。
昭和の時代からインスタントコーヒーといえばネスカフェ。このゆるぎないポジションには、このような歴史があったのです。
インスタントコーヒーの種類
現在、店頭で売られているインスタントコーヒーには二種類の製法があります。それぞれ特徴や違いがありますので、製法ごとにご紹介していきます。
スプレードライ製法
高温の筒の中に熱いコーヒー液を噴霧して、一気に乾燥させる製法。
噴霧した液体が乾燥するため、細かい微粉状に仕上がります。冷たい水にも溶けやすく量産しやすいのですが、高温で作るため香りを失いやすいのが難点です。
これが、ドリップしたコーヒーに比べ、香りがしない原因の一つです。
フリーズドライ製法
コーヒー液をマイナス40℃以下で凍結し、細かく砕いてから真空状態にすることで、水分を蒸発させる製法。
形状は2~3mmのほどの荒い粒状となります。
スプレードライ製法に比べると香りは失われにくいのですが、製造側からすると時間や手間がかかるので、量産するにはやや劣る製法です。
まとめ
インスタントコーヒーには手軽さがあり、ドリップコーヒーには挽きたて淹れたての美味しさがあります。
手軽さを取りインスタントコーヒーを選ぶのか、味を重視しドリップコーヒーを選ぶのか。
これはその人の価値観と生活スタイルによって変わるものなので、どちらが良いも悪いもありませんよね。あなたが何を重視するか、ただそれに尽きるのではないでしょうか?
ぜひご自身が一番満足できるコーヒーライフを送っていただければと思います。