コーヒーが「酸化する」というのはよく聞く言葉ですよね。
「このコーヒーは酸化していて美味しくない」
「もう酸化しているから飲まない方がいい」
こういった会話を耳にしたことがあるかもしれません。
ですが、酸化したコーヒーとは、具体的にどういうものなのかハッキリとわかりますか?
そこで今回は、コーヒーが酸化する原因や酸化防止策、身体に与える影響などについてお伝えしていきます。また、コーヒー本来の酸味と酸化したコーヒーの酸味の違いについてもまとめていますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
そもそも酸化って何なの?
まず「酸化する」というのは、一般的にはどういった状態を指すのでしょうか?
酸化の定義などを詳しく見ていきましょう。
酸化の定義
酸化の定義は以下のいずれかとなります。
- 物質が酸素と反応して結びつき、酸化物になること。
- 物質から水素が奪われる反応のこと。
- 原子や分子、イオンから電子が奪われる反応のこと。
専門的で少し難しいですが、一般的にいわれる酸化は、この中の1番目が当てはまります。
例えば、鉄がさびた状態(酸化鉄)は、鉄と酸素が反応して結びついた状態です。これも一番目の定義付けが当てはまります。
コーヒーにおける酸化
では、酸化の定義をコーヒーに当てはめてみましょう。
すると、「コーヒーが酸素と反応して結びついた状態」となります。
これは具体的にはどのような状態なのでしょうか?
例として鉄で考えてみましょう。
鉄は酸素と結びつくと錆びてしまいますよね。これは、いわば劣化してしまった状態です。
ですので、基本的には「酸化=劣化」ととらえることができます。
つまり、コーヒーが酸化した状態というのは、品質が落ちて劣化した状態ということになります。
コーヒーが酸化する5つの原因
コーヒーが酸化する原因はこの5つとなります。
- 空気に触れる
- 湿気による影響
- 光に当たる
- 熱が加わる
- 時間の経過
それでは、それぞれの原因を詳しく見ていきましょう。
1、空気に触れる
コーヒー豆の状態でも、飲み物のコーヒーの状態でも、酸化していく一番の原因は空気に触れることです。
酸素と結びつくと酸化するわけですから、ただ空気に触れるだけでも酸化につながります。
2、湿気による影響
湿気、つまり水分も酸化してしまう原因の一つです。
水(H2O)の中にも酸素(O)は含まれていますよね。
そして、焙煎したコーヒー豆の構造というのは、多孔質状といってスポンジのように小さな空洞がたくさんある状態なのです。ですので水分を吸収しやすい性質を持っています。
つまり湿気や水分は、コーヒー豆を酸化させやすいということになります。
3、光に当たる
直射日光はもちろんですが、明るく日の光の入る場所も要注意です。
紫外線にはとても弱く、蛍光灯の光でさえも酸化が進むという実験結果もあります。
4、熱が加わる
熱が加わることで、酸化の速度を速めます。
温度が10℃上がると、なんと酸化の速度は2倍に上がるのです。直接の熱でなくても、キッチン周りなどの熱がこもりやすい場所などは要注意です。
5、時間の経過
保存状況にも大きく左右されますが、時間が経てば経つほど酸化が進むことは明らかです。
コーヒー豆を使わずに長く置いておくことや、飲み残しのコーヒーをずっと置きっ放しにしておくことは、当然ながら酸化させる原因となります。
コーヒーを酸化させないために!酸化防止策
酸化していない美味しいコーヒーを飲みたいのであれば、やはり酸化を防ぐしかありません。
ですのでここからは、美味しいコーヒーを飲むための酸防止策をお伝えしていきます。
新鮮な豆を選ぶ
焙煎してから時間が経っているコーヒー豆は、未開封でも酸化が進んでいます。
できるだけ新鮮な豆を取り扱っているお店で、コーヒー豆を購入しましょう。
また、コーヒー豆を買う際はこまめに買いたしましょう。一度にまとめて買うと楽ではありますが、保存期間が長くなることで酸化につながります。
そして、より酸化を防ぎたいのであれば、粉に挽いた状態ではなく、豆の状態で購入するのがベストです。粉の状態だと空気に触れる面積が増えるため、豆のままよりも酸化しやすくなってしまいます。
コーヒー豆の保存方法
せっかく新鮮なコーヒー豆を購入しても、その後の保存方法に気を配らなければ、豆は酸化しやすくなります。
ですので、コーヒー豆の酸化を防ぐ保存方法も見ていきましょう。
酸化を防ぐ保存容器
酸化する原因をもとに考えると、密閉された容器であることは絶対条件です。
さらに、ガラス容器など透明な容器ではなく、ホーロー容器などの光が遮断されるタイプがベストです。
ジップタイプの保存袋も便利ですが、閉める際にはしっかりと押さえながら空気を抜くことが大切です。また、透明ですので、さらに紙袋などに入れ、光を遮断することを忘れずに。
酸化を防ぐ保存場所
保存場所は温度変化の少ない冷暗所がオススメです。
冷蔵庫や冷凍庫に入れるのもアリですが、出し入れによる極端な温度変化は好ましくありません。また、出した時の温度変化で水滴が付くというデメリットも。
ですので新鮮なうちは常温保存の方が良いのです。
一方で、長い期間飲まないことがわかっている場合に限り、冷凍庫などで保存すれば、酸化による劣化の速度を遅くすることができます。
酸化を意識した賞味期限
酸化を意識した場合、コーヒー豆の賞味期限は、焙煎後2週間~1ヶ月ほどです。
ですが粉にしてしまうと、3日~7日ほどで酸化による劣化が始まります。
ですので、やはり豆の状態で購入し、保存することがベストというわけです。
一度に淹れるのは飲みきれる分だけ!
コーヒーを淹れる際、多めに淹れてゆっくり時間をかけて飲んでいませんか?
多めに淹れると確かに楽ではありますが、長く時間が経てばもちろん酸化が進みます。
酸化していない美味しいコーヒーにこだわるのであれば、今飲みきれる量をその都度こまめに淹れることが大事です。
蓋つきの容器などで少しでも酸化を遅らせることもできますが、やはり美味しいコーヒーを飲むためには、多少の手間は我慢しなくてはなりません。
水出しコーヒーは酸化しにくい
水出しコーヒーは熱を加えないため、ホットコーヒーよりも酸化しにくくなります。
熱を加えず抽出し、その後も冷たい状態で保存するので、酸化の速度が遅くなるのです。
つまり、水筒などにコーヒーを入れておく場合は、水出しアイスコーヒーの方が、時間が経っても美味しくいただけます。
コーヒーが酸化するとどうなるの?
コーヒーは酸化すると、劣化した状態になるということはお伝えしました。
ですが、具体的にはどのように変化し、酸化する前とはどんな違いがあるのでしょうか?
酸化すると体に悪いってホント?
酸化したコーヒーは体に悪そうなイメージがありますが、実は明確な根拠などはありません。少なくとも健康を害するといったデータはまだ出ていないのです。
ですが、人それぞれの体質によっては、悪い影響を与える場合もあります。稀にですが、多少の胃の不快感やお腹の不調などが表れる場合も。
ですので、体に悪いという根拠はありませんが、「少なくとも体に良くはない」と考えて間違いないでしょう。
酸化したコーヒーってどんな味?
コーヒーは酸化すると、苦みや渋味、えぐみが強くなっていくので、舌にイガイガとした不快感を感じるようになります。感覚としては、その不快感がいつまでも舌に残る感じです。
そしてさらに、美味しい酸味とは少し違った、「嫌なすっぱさ」も加わってきます。
淹れ立てのさわやかな飲みごこちとはほど遠い味になってしまうのです。
ですが、実際に酸化しているかどうかが、よく分からないという状況もあるかもしれません。そのためには日頃から、新鮮で美味しい状態のコーヒーを飲んでおくことをおすすめします。そうすれば酸化にも気づきやすくなるはずですので。
コーヒーの酸化と酸味
酸化が進むと、コーヒーの個性である酸味とは違った「嫌なすっぱさ」が加わってきます。
ですが、この違いは意外とわかりにくい部分があるので、詳しく解説していきます。
本来の酸味と酸化による酸味の違い
例えば食べ物が腐りはじめると、すっぱい味やにおいがしますよね。その食べ物が持つ本来のすっぱさと、腐ったすっぱさではなんとなく違いがわかるかと思います。
それと同じように、コーヒー本来の酸味と、酸化による酸味にも違いがあります。
飲んだ時にすっきりとした酸味で、後に残らないのがコーヒー豆本来の酸味です。
一方で、強い酸味に加えて嫌な感じが口に残る場合は、酸化による酸味といえます。
さらに酸味だけではなく、見た目の濁りや香りのなさ、舌に残る苦みやえぐみなどからも、総合的に感じ取ることができるでしょう。
酸味の強いコーヒーの銘柄
酸味が個性となっているコーヒーの銘柄を知っておくと、本来の美味しい酸味を知ることができるはずです。酸味の強いコーヒーの代表は以下のとおりです。
- キリマンジャロ
- モカ
- グアテマラ
- コナ
これらが酸味を特徴とする有名な銘柄です。
それぞれ酸味の強さはさまざまですが、こういったコーヒーを実際に味わうことで、本来の美味しい酸味を知ることができますよ。
まとめ
時間が経って酸化してしまったコーヒーは、やはり飲みたくないものです。日頃から新鮮で美味しいコーヒーを味わっていれば、酸化した状態との違いもだんだんわかるようになります。
コーヒーは時間の経過にとても弱く、とても繊細です。
ですが、手間をかけて新鮮なコーヒーを淹れることで、コーヒーは私たちに美味しい時間を必ず届けてくれますよ。