カリブ海に浮かぶ島国キューバ。
日本よりも小さな国でありながら、実は美味しいコーヒー豆を生産しています。
キューバ産のコーヒー豆は日本でも時々目にすることができ、マイルドな味わいがなかなかの人気です。
そこで今回は、キューバのコーヒー豆の特徴や銘柄、生産地などについて詳しくお伝えしていきます。キューバ発祥の飲み方なども紹介していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
コーヒー豆の生産地や特徴
もともとキューバのコーヒー豆というのは、1748年、同じカリブ海に浮かぶ島「イスパニョーラ島」から伝わりました。
そして1827年には、2000を超えるコーヒー農家が存在していました。当時は砂糖を超える主要な輸出品として扱われていたのです。
では今現在、キューバのコーヒー豆事情はどうなっているのでしょうか?
コーヒー豆の栽培事情
キューバのコーヒー豆生産量は世界で見ると44位。(2017年調べ)
ですので決して多い方ではありません。
1950年代に起きた「キューバ革命」により、社会主義共和国となったため、キューバのコーヒー農園は国営化となりました。そしてその後、コーヒー豆の生産量は落ち込んでいったのです。
現在も生産量は低迷したままではありますが、キューバの気候と土壌はコーヒー豆の栽培に適しており、良質なコーヒー豆を生産することができています。
島の東部で70%、中部で20%、西部では10%が生産されており、コーヒー豆の生産地はキューバ全体に渡っているのです。
島の中部には「エスカンブライ山脈」もあり、少量ではありますが、ここでもコーヒー豆が栽培されています。
特に南東部の「マエストラ山脈」にあるキューバ最高峰のツルキーノ山の周辺では、生産がとても盛んに行われています。いくつもの有名な銘柄が、この地から生まれているのです。
また、南東部にはコーヒー農園発祥の地もあり、ここは「キューバ南東部のコーヒー農園発祥地の景観」として世界遺産にもなっています。
ここの81475ヘクタールの土地には、171ものコーヒープランテーションが遺跡として登録されているのです。そこには深い森林を開拓して作り上げた苦労の痕跡が残っており、文化的景観として評価されています。
コーヒー豆の種類と特徴
コーヒー豆の種類としてはアラビカ種が主流。
その中でも主にティピカという品種を栽培しています。それに続き、ブルボン、カトゥーラなどの品種も多く見受けられます。
キューバ産のコーヒー豆は、重厚なコクと比較的弱めな酸味に加え、苦みとのバランスも取れているのが特徴です。
一年中ほとんど変わることのない気温と、ほどよい日照量。そして地形的にも山の斜面で栽培しているため、コーヒー豆にとっては楽園のような恵まれた環境です。
だからこそ、バランスの取れた絶妙にマイルドな一粒が生まれるのでしょう。
コーヒー豆の品質を表す等級
キューバ産コーヒー豆の等級は4段階にわけられます。
等級 | スクリーンサイズ | 欠点豆の数 |
最高等級 | 18、19以上 | 4粒以下 |
1等級 | 18以上 | 12粒以下 |
2等級 | 17以上 | 19粒以下 |
3等級 | 16以上 | 22粒以下 |
キューバ産コーヒー豆の銘柄
キューバ産コーヒー豆の中で、最高級といわれるのはクリスタルマウンテンという銘柄。
ですが、その他にもいくつかの銘柄がありますので、味などの特徴をご紹介していきます。
クリスタルマウンテン
クリスタル(水晶)が採れる山岳地帯で栽培されるのため、この名前がつけられました。
コーヒー豆の粒はとても大きく、豊かな香りが特徴です。酸味や苦みも少ないので、まさにクリスタルな飲み心地といえるでしょう。
ジャマイカ産のブルーマウンテンの風味にも似ていて、とてもバランスが良く、さわやかな口当たりです。
まろやかな味を楽しむためには、ミディアムローストくらいの中煎りがおすすめです。また、深煎りにすると苦みがかなり強調されるので、アイスコーヒーやエスプレッソに向いているでしょう。
どちらも好み次第ではありますが、両方試してみると、クリスタルマウンテンのさまざまな味わいを堪能することができますよ!
ツルキーノ・ラバド
クリスタルマウンテンよりも小粒ではありますが、上品な甘みとさわやかな味でとても人気の高い銘柄です。また、粒の大きさは小さめですが、味が落ちるというわけではありません。
苦みがやわらかく、甘みも特徴的で、浅めの焙煎だとさっぱりとした酸味を感じることができます。深煎りにすると、酸味が消えて甘みとコクがより強くなるでしょう。
全体的にクセのない飲みやすさが、多くの人から好まれる理由です。
シエラ・マエストラ
南東部にある「マエストラ山脈」で生産される、シエラ・マエストラ。
酸味と苦みに加え、甘みもバランス良く感じることができます。さわやかでマイルドな味わいが特徴です。
キューバでメジャーなコーヒーの飲み方
キューバで愛されているコーヒーの飲み方は、実は世界中に広まっています。
それではキューバならではの、さまざまな飲み方をご紹介していきましょう。
コルタード
少量の温かい牛乳で割ったエスプレッソです。
牛乳とコーヒーの比率は、1:1~1:2で入れましょう。
牛乳を入れるタイミングは、エスプレッソを作った後、ゆっくりと注ぎ入れます。キューバでは、金属でできた特殊なグラスで出されることが多いです。
カフェ・コン・レチェ
スペイン語で「ミルク入りのコーヒー」を意味しています。フランスのカフェ・オ・レよりも、どちらかというとイタリアのカフェ・ラテに似ている飲み方です。
ただ、カフェ・ラテはエスプレッソで作られるのに対して、カフェ・コン・レチェは濃いめのコーヒーを使うことが多いです。温めた牛乳は1:1の割合で混ぜ合わせます。
好みによっては、砂糖をたっぷり入れても美味しいでしょう。
ラテンアメリカの諸国では、日常的によく飲まれる飲み物となっています。
キューバン・コーヒー
キューバエスプレッソとも呼ばれており、キューバ発祥のエスプレッソの一つ。
デメララ糖といわれる甘味料をたっぷり入れ、甘くしたエスプレッソのショットのことです。
ただ、「カフェ・コン・レチェ」のようなキューバエスプレッソをもとにしたコーヒーの総称を、「キューバン・コーヒー」と呼ぶ場合もあります。
そもそもキューバってどんな国?
正式名称は「キューバ共和国」、普段私たちが呼んでいる「キューバ」は通称となります。
フロリダ半島(アメリカ)のすぐ南に位置し、メキシコ湾とカリブ海に挟まれた細長い島国です。
革命の国キューバ
1492年、キューバはコロンブスによって発見され、後にスペイン人による征服が始まります。
スペインの植民地時代、キューバでは砂糖産業が盛んであり、「ハイチ革命」からキューバへ逃れてきたフランス人農園主の技術が導入されていきました。大規模な黒人奴隷を使った砂糖プランテーションが発達したのです。
さらに、もともと専売であった葉巻の栽培もますます盛んになっていきます。
そして1868年、独立戦争が始まりますが、一度は失敗に終わっています。
ですがその後、1892年に第二次独立戦争が再発するのです。もともとはスペインの植民地であったキューバですが、今度はアメリカの支配下となるなど、波乱の歴史が続きます。
そして1959年、チェ・ゲバラで有名な「キューバ革命」が起こり、ついにアメリカと対立していくこととなります。
キューバの文化
キューバは、スペインとアフリカからの移民がとても多い国です。
キューバ国民の大半がこの二つの国の移民であるため、キューバの文化はスペインとアフリカ、特にナイジェリア辺りの伝統文化の影響を強く受けています。この二つの文化が混じり合い、あの独特の文化が作り出されたのですね。
この影響は、音楽やダンスなどにもよく表れています。
ルンバやボレロ、マンボやチャチャチャなど、キューバにはたくさんのラテン音楽があふれています。街には多くのダンスクラブやジャズクラブがあることでも有名です。
まとめ
移民とその地の人々が生み出した、ラテンやコーヒーの文化。
複雑な歴史の背景がありながらも、多くの人たちがここで歌い踊り、そしてコーヒーを楽しみながら暮らしているのですね。
そして、キューバ産のコーヒーは、ぜひキューバの飲み方で味わってみてくださいね。
コーヒーの風味の中に、遠く離れたキューバの風を感じられるかもしれませんよ。